女性が働くということについて、自分の思い、国の女性の働く環境やその働き方について語っていただきました。職場環境は個人によって違うため視点は様々ですが、女性の仕事と出産育児との両立は女性たちの共通課題となっているようです。?(icaNEWS 2016年5月号)
<ica日本語教室のみなさんに聞きました>
●アメリカ
アメリカでは育児を親に頼ることはあまりないです。親が遠くに住んでいるケースが多いですから。たいていは保育所やベビーシッターに預けます。
私の職場(大学のデザイン部)には大きな子供のいる女性も働いていました。オープンで安心してみんなで一緒に仕事ができる環境にあり、自分のペースで仕事をすることができました。もし上司が年下の女性でも、その人が有能で仕事もマネージメントもできるような尊敬できる人なら、全く問題ありません。(Mさん/男性)
●タイ
4世代同居の大家族が普通で、祖父母の面倒をみるのは嫁の仕事です。昔はほとんどの女性は家事に従事していましたが、最近は、出産後3?4カ月の産休をとった後、夫の両親に子どもの面倒をみてもらい働きに行く人が増えてきています。(Bさん/女性)
●イタリア
イタリアでも出産育児と仕事の両立は難しいですが、日本よりはまだ簡単だと思います。6カ月から18歳まで月7000円の手当がもらえます。(Eさん/男性)
●中国
田舎の人は仕事がないので出稼ぎに行きます。子どもは両親にみてもらうため、子どもに会えるのは年に何回かです。(Mさん/女性)
●バングラデシュ
大家族であるため、女性の半分は家の仕事を手伝ったり好きなことをしたり。サラリーは男女別というより、ポジションによって違います。子どもが生まれた後、仕事を続けるかどうかは会社によって違います。産休を認めないところは辞めていきます。保育所は地方にはなく、日本ほど数はありません。(Jさん/女性)
●韓国
近年はほとんどが共働きです。子どもが1?3歳の間は祖父母か保育所に預けるか、または一旦仕事を辞めて3歳から幼稚園に行かせたころに仕事を再開します。現在女性リーダーも増えています。大統領も女性、私の会社の社長も女性でした。韓国は今、不景気で働きづらいです。日本の方がいいです。(Pさん/男性)
●シリア
先生、医者、エンジニアなどの仕事をはじめ、女性も男性と同じ仕事につけます。給料も同じです。ただしタクシードライバーには就けません。(Nさん/女性)
●サウジアラビア
女性は働くことが認められていません。家の中の仕事も同様です。フィリピンやインドネシアなど外国籍のメイドを雇います。(Nさん/女性)
●メキシコ
仕事の内容は男女で分かれます。男性ならタクシードライバーや力仕事など。日本に来て、機内預け荷物運びをしている女性が多いことにびっくりしました。整備士もメキシコでは男性の仕事です。一生仕事を続ける女性は少数です。女性政治家もいますが大統領はまだ誕生していません。コロナビールの社長は女性です。(Sさん/男性)
●台湾
企業は、若い人と「二度就業(出産子育て後再就職する人のこと)」の人を雇いたがります。(Sさん/男性)
●スリランカ
政府の獣医学の研究機関で働いています。ずっと働き続けたいと思っています。自立のためです。退屈になるのもいやです。女性にとっての環境のよしあしは仕事によって違います。高い教育を受けた女性はほとんどの人がずっと働き続けます。現在は非常に働きやすい環境です。1年間の育児休暇があり、6カ月は有給です。1日に2時間授乳のために帰宅できます。子どもは祖父母やメイドに預けます。
女性リーダーも多く、女性首相もいました。スリランカは女性人口の割合が男性より多く、これは、2009年まで約30年近く続いた内戦の影響で多くの男性が亡くなったからです。(Tさん,Nさん,Nさん/女性)
●中国
物流会社に勤めていました。男女の業務内容は同じですが、女性は子どもが小さい間は昇進しません。中国では赤ちゃんは大切な存在。3歳になるまでは仕事よりも子どもの成長を見守ろうとします。
中国では子どもが1歳になるまで4時に退社できます。また授乳期は、毎日1時間までなら好きな時間帯に授乳のために家に帰ることも認められています。子どもが2?3歳で幼稚園に行き始め生活が落ち着くと、女性もキャリア上の評価が行われるようになります。夜の8時まで働くのは日常的なことで、忙しいときはもっと遅くなります。私は重要な業務内容の仕事をしたいので、男性と同じように働きたいと思っています。(Oさん/女性)
●中国
女性、特に30歳以上の未婚女性は就職が難しく、面接で将来子どもをもうける気持ちがあるかどうか尋ねられます。子どもを持つ予定はないと言わないと採用されません。仕事は保育所に預けたり祖父母の支えがあってこそ続けられます。しかし最近は、仕事と家庭の両立が難しく、また祖父母が体力的に大変なことから専業主婦になる人もいます。(Oさん/男性)